陰陽師が教える『呪符・霊符・護符』について1
呪符にまつわる迷妄なる思想とその真の力
呪符を創造するのに、特別な才能や名門の血筋は必要ありません。
むしろ、怨念や強い思いを持つ本人こそが、より強力な呪符を生み出せるのです。
そこに霊能者のエッセンスが加わることで、願いが届きやすくなる──
これは、私の長年の経験から確信していることです。
人がその呪符に、魅了されるような不思議な力が宿ると心から信じるならば、
その信仰が現実を動かし、望みが叶う道へと繋がっていきます。
呪符に記された奇怪な文様は、超自然的な力を封じ込めた鍵。
そこに「信」があれば、現実に不可思議な変化が起こるとされ、
それを信奉する者は、実際に救われてきました。
ですが──
呪符の力をただ絶対視し、「飾るだけ」「祈るだけ」で終わるのは、
本質的な呪術とは言えません。
呪術とは、文字通り「呪いの術」。
恨みや憎悪、深く強い感情が結晶化した、ある意味おぞましい思想でもあります。
日本で呪符が使われ始めたのは、鬼が禍(わざわい)をもたらすと信じられていた古の時代。
その後、呪符は修験道・陰陽道・神道・仏教といった様々な霊的文化に取り込まれ、
姿形を変えながらも、その奥底には“鬼の思想”が宿り続けてきました。
より強い呪力を得たいならば、まず「鬼の思想」を理解する必要があるのです。
「鬼の思想?そんなもの聞いたことがない」と思われるかもしれません。
実際、呪術の核心について深く語られる機会は少なく、
私自身も大学時代に文化人類学を学ぶまでは、表面的な理解しか持っていませんでした。
日本における“鬼”のイメージといえば──
「ご飯を食べないと鬼が来るよ」「親の言うことを聞かないと…」と、
子どもをしつけるための存在であり、節分に豆をぶつけられる役割。
ですが、その背後には、もっと深く、もっと禍々しく、
それでいて強力な力の思想が息づいています。
この「鬼の思想」に触れることができれば──
呪符はただの飾りではなく、“真の呪術具”としての力を発揮するのです。
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呪符の本質とその深き役割
現代では、呪符は単なる「願掛けの飾り物」「お守り」のように扱われがちです。
しかし、本来の役割は邪鬼の追放にあります。
邪鬼とは、たとえば生霊・悪霊・怨念など──
目に見えない存在ですが、人々の人生や運気に直接的な影響を与えるものです。
呪符には、恋愛成就・商売繁盛・病気平癒・金運上昇といった用途もありますが、
それらもすべて「邪鬼を祓う」という呪術的思想の中に位置づけられています。
たとえば「商売繁盛」の呪符。
多くの人は、これをお守りのように壁に貼り「繁盛しますように」と祈ります。
この行為が間違いだとは言いません。
けれど、本来の呪符の力を引き出すには、それだけでは足りないのです。
呪術の世界では、不運の原因はすべて邪鬼の仕業とされてきました。
つまり、「商売がうまくいかない=邪鬼が商売を妨げている」という考え方です。
だからこそ、呪符を作るときにはこう思う必要があります。
「私の商売を邪魔するな。私の人生を邪魔するな」
怒りと祈り、恨みと希望。
そうした相反する感情を織り交ぜて、戦いの覚悟を込めて描かれるのが、本来の呪符です。
「飾れば叶う」ではなく、「戦いの意志」として掲げる。
それが、呪符に本当の力を宿す鍵。
呪符とは、あなたの霊的な意志そのものなのです。 つづく