陰陽師が教える『呪符・霊符・護符』2
呪術(呪符)の世界
怨念から邪気満ちる鬼の脅威
陰陽師が教える『呪符・霊符・護符』②
呪術の世界では、悪しき出来事の背後には必ず「邪鬼」の存在があると考えられています。
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◼️邪鬼とは何か?
邪鬼とは、“怨念”から生まれた霊的存在。
人を恨み、憎む強い感情が凝縮されて生じるものです。
その感情が渦巻き、対象を傷つけようと霊的攻撃を行う。
これを怨霊とも呼びますが、
死者から発生した怨霊は「死霊」、
生きた人間から発生したものは「生霊」と区別されます。
現代では、特にこの「生霊による災い」を防ぐために、呪符が多く用いられています。
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◼️無意識にあなたを蝕む霊的攻撃
たとえば、職場で理由もなくあなたをいじめてくる上司がいたとしましょう。
日常では忘れようとしても、ふとした瞬間にその人の顔が浮かび、強いストレスに襲われることはありませんか?
呪術の視点では、それは“上司から放たれた霊的エネルギー=邪鬼”が、
あなたの魂や心に干渉している状態だと考えられています。
そのまま放置すると、体調不良、対人トラブル、運気の停滞といった悪縁が連鎖することも。
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◼️「恨まれていない」──本当にそうでしょうか?
「私は誰にも恨まれていない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、SNSなどで発信していれば、見知らぬ誰かが勝手な解釈であなたに悪意を抱いていることもあるのです。
たとえあなたが穏やかで誠実な人でも、
「幸せそうでムカつく」「笑顔が気に入らない」──そんな理不尽な感情が向けられることもあります。
それが、霊的には“生霊”として届いてしまうのです。
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◼️邪鬼は、あなたが気づかぬ間に心を蝕む
人間の誰もが、何らかの恨みや妬みを受けた経験があるはず。
そして、その邪鬼の影響によって精神が傷つき、調子を崩している可能性もあるのです。
だからこそ、邪鬼を祓うことが必要なのです。
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◼️呪術の思想と現代スピリチュアルの違い
現代の自己啓発では、「他人に優しくしましょう」「感謝しましょう」といった光の言葉が語られます。
しかし、呪術は闇と向き合う学問。
敵の存在を認め、霊的攻撃を受けている現実を正面から受け止め、
その上で守り、戦う意思を持つことが本質なのです。
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◼️病や不運の背後にある“恨み”
昔の人々は、病気になると「行いが不浄だった」「神々の怒りを買った」と考えました。
ですが呪術の視点では、“人々の恨み”こそが病の原因だと捉えます。
他人の恨みが怨念となり、邪鬼を生じ、霊的攻撃によって病を招く──
そのため、病を祓う呪符も多く存在してきました。
また、商売がうまくいかない、良縁に恵まれないなども、
他人の嫉妬や憎しみが影響しているとされ、それに対抗する呪符が生み出されてきたのです。
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◼️忘れ去られた呪符の本懐
しかし近年では、呪符の「邪鬼を祓う」という本質が薄れ、
「願望を叶えるアイテム」としての面ばかりが注目されがちです。
本来、呪符とは“戦いの証”であり、“守護の意志”を刻むもの。
ただ願うのではなく、見えぬ敵と対峙する心構えが、真の呪術なのです。
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次回のテーマ
🔮**『急急如律令』と『鬼字』**
〜 さらに深く、呪術の鍵を解き明かします 〜