陰陽師が教える『呪符・霊符・護符』2

呪術(呪符)の世界

怨念から邪気満ちる鬼の脅威

陰陽師が教える『呪符・霊符・護符』2ということで

続きを書いていく。

 

呪術の世界では、悪い出来事は全て邪鬼が原因で引き起こされると考えられているのだ。

邪気とは何か?

では、邪鬼とは何か。

邪鬼は、怨念から生まれるのである。

怨念とは、人を憎んだり、恨んだりする感情のことだ。

つまり、憎しみの感情から邪鬼が生まれ、憎む相手を攻撃するのだ。

なお、邪鬼のことを怨霊とも呼ぶことがある。

さらに、亡くなった人から生じた怨霊を死霊と呼び、
生きている人から生じた怨霊を生霊と呼ぶのだ。

現代の呪符は、生霊による災いを防ぐ目的でよく使われている。

悪い出来事が起こる原因を生霊の仕業だと考え、
それを取り除くことで、平穏な日々を取り戻すのである。

たとえば、なんの理由もなく、あなたのことをいじめる会社の上司がいるとしよう。

あなたは、会社の外では、この上司のことを考えたくないと思うことだろう。
しかし、ふとした瞬間に、この上司の顔が頭に浮かんでしまい、

強いストレスを感じることがあるはずだ。
その結果、精神がむしばまれて、悪いことばかりが起こり始めるのだ。

呪術の世界では、このような現象を、上司から放たれた霊(邪鬼)が、
あなたを攻撃していると考えるのである。

だから、この生霊を追い払うために呪符を使うのである。

自分は誰にも恨まれていないと主張する人もいるが、その
場合も、本人が自覚していないだけで、知らず知らずのうちに
どこかの誰か
に恨まれているかもしれない

SNSの発信などをしている人に多いが、
勝手な解釈であなたを嫌っている人もいるかもしれない。

例えば、あなたが心優しい人であり、誰に対しても笑顔で接しているとしても、
「幸せそうで腹立たしい」「にやにや笑っているなんて許せない」といった理不尽な感情を
抱く者が呪術の世界には存在するとされている。

 

邪鬼とは何か。

あなたがそのような敵の存在に自覚を持っていなくても、
心の奥底で敵を感じ取り、精神的な傷を負っているのだ。

呪術的に解釈すれば、邪鬼による攻撃を受けている状態と言える。

憎しみの感情から完全に無縁な人間などこの世に存在しない。

だからこそ、邪鬼を追い払わなければならないのだ。

現代の幸運を引き寄せる方法の多くは、
敵の存在を無視して「他人に親切にしましょう」「いつも笑顔でいましょう」と主張している。

しかし、呪術では敵の存在を認め、正面から立ち向かうことが求められるのだ。

もう一つ例に挙げると
かつての者たちは、病に罹ると日々の行いが不浄であるからだと信じていた・

神々の怒りを買ったとも思われるが、
呪術の領域では、日々の悪行が人々の恨みを買い、病に冒されるたのだと考えられた。

その結果、恨みの怨念から生じた邪鬼の攻撃により、
病の床に就くと推測されたのである。

かくして、昔の呪符には病を浄化する力を秘めたものが数多く存在したのだ。

しかも、商売繁盛しない原因や縁談に恵まれぬ原因も、
他人の恨みが背後にあると信じられ、多様な呪符が創り出された。

だが、その一方で、そうした呪符の真の目的である邪鬼追放が忘れ去られ、
むしろ願いを成就させる力ばかりが脚光を浴びるようになり、

邪鬼を追い払うという本懐が埋もれてしまったのだ。

では次回へ続きます。

次回は

『急急如律令』と『鬼字』

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